同窓生が二名そろって検察官役指定弁護士に
同窓会広報担当者(以下「WM」);
このたびはインタビューをお引き受けくださり、ありがとうございます!
お二人は、平成17年のJR福知山線脱線転覆事故に関し、検察官に代わりJR西の三社長の刑事責任を問うべく、弁護士でありながら検察官の職務を行われ、メディアでも多々取り上げられていました。
まずは、この件について教えて頂けますか。
奥見さん;
はい、事故そのものはみなさんご存知の通り、平成17年4月25日、JR西日本福知山線において快速列車が脱線転覆し、乗客106名が死亡、493名が負傷したという我が国史上でも最悪の鉄道事故です。
捜査の結果、検察庁は、歴代三社長については刑事責任を問うことはできないとして不起訴処分としました。
従来であれば、このような検察官の判断を覆す途はほとんどありませんでした。
しかし、平成19年の刑事訴訟法改正により、被害者等の申立により、検察審査会という機関が、「検察官の判断はおかしい。起訴して、裁判所の判断を仰ぐべきだ。」という決議を2回出した場合には、裁判所から指定を受けた弁護士が検察官に代わり起訴し、訴訟を遂行するという制度ができました。
この制度を、簡単に「強制起訴」と呼んだりするのですが、本件は、明石歩道橋事件に続く全国2例目の強制起訴の事案として、裁判所に係属することになったのです。
佐々木さん;
私たちは、平成22年、兵庫県弁護士会の推薦を受けた上で、裁判所から「検察官の職務を行う指定弁護士」に指定されました。普段は弁護士ですが、この件に関してのみ「検察官」の立場で訴訟遂行する、という立場に立ちました。当初は私たちを含め4名、途中からは3名でこの仕事にあたっていました。
先日まで約7年にわたり、相当な時間を費やしてこの件を担当していましたが、神戸地裁、大阪高裁、そして平成29年6月に最高裁も無罪の判断を下し、確定しました。
奥見さん;
確定するまでの間、当然、刑事事件、民事事件、家事事件等の通常の事件も受けていました。
それでも、本件のことが頭から離れることはありませんでした。
段ボール50箱分ほどもある膨大な資料の精査だけではなく、マスコミ対応や被害者の方々への説明などにも多くの時間を割きました。無理がたたって寝込んだこともありました。
しかし、指定弁護士の仕事をしたことによって、刑事事件おける証拠に対する洞察力が増したような気がしています。また、刑事事件では主に弁護人の立場から被害者の対応をしていましたが、指定弁護士として被害者の対応をしていく中で、被害者の心情についての理解が深まったように感じています。
WM;
約7年間・・・!本当にお疲れさまでした。
全国で2例目の強制起訴で、しかも3名の指定弁護士のうち2名が我が校の同窓生、というのはとても奇遇ですね。
佐々木さん;
実は私は、この件でご一緒するまで、奥見先生が高校の同窓だということを知らなかったんですよ(笑)。
何かの話のときに母校の先輩だと知ったときには、より一層の親近感というか、無条件の信頼感というか、そういう気持ちになったのを覚えています。
神戸高校卒業生の法曹の皆さん!ぜひご連絡ください
WM;ところで、神戸高校出身の法曹関係者が参加する「
神高法曹会」という会があるそうですね。
奥見さん;「
神高法曹会」は、23回生の藤原誠先生が個々に声掛けをすることで開催に至ったと聞いています。4年前から、食事会が年に1回、7月に開催されています。
佐々木さん;今のところ、年に一度会食をして、有志の方でゴルフをしている程度の気楽な会です。今年は神戸市中央区の新愛園で会食しました。このお店も同窓生がやっていらっしゃいます。
ちなみに会食は、“毎年7月の第1土曜”、と固定されています。皆さん忙しいので、もう年間予定に予め組み込んでいただければと思いまして(笑)。
奥見さん;異なった世代の方から、仕事の話に限らず多方面にわたる話を聞けますので、色々な意味で刺激を受ける場となっています。
元々藤原先生の手作業で会員を募っていますので、まだ把握できてない方がたくさんいます。一度参加してみたいという同窓の法曹の方がいらっしゃいましたら、是非ご一報下さい。
WM;後輩たちの中にも、将来弁護士を目指している人がたくさんいると思います。
奥見さん;司法制度改革により弁護士数が増加し、個々の弁護士が扱う業務の内容も多様性を増しており、今後もその傾向は続くのではないかと思います。
またグローバル化が進む中、法律は以前にも増して重要になってきますので、やりがいのある仕事ができると思います。
いつの日か、「
神高法曹会」でお会いできればいいですね!
佐々木さん;この先法曹界という業界がどうなるのかわかりませんが、少なくとも現時点においては費用対効果が決してよくない業界になりつつあると私は考えています。
ですので、表向きのイメージにとらわれず、ご自身で徹底的に情報収集して判断して頂ければと思います。
もちろん、やりがいも可能性も大きな資格であり、職業ですので、たくさんの後輩が目指してくれれば嬉しいです。知り合った同業者が高校の後輩だったりすると、嬉しくなって、「今度ご飯でも行こうか!」って感じになりますね(笑)。
OBになっても兵庫高校との交流は続いています
WM;お二方は高校時代、何部に所属されていたのですか。
奥見さん;私は高校入学後、軟式テニス部に入りましたが、練習についていけず1年生の1学期には退部していました。その後はボート部に入りマネージャーをしていました。
ボート部OBOGは3年に1回、同窓会館で集まっています。
佐々木さん;私は野球部でした。同級生には、現在長田高校野球部で部長を務め、平成28年の選抜に同校を導いた西岡大輔くんがいて、彼がエースでした。
彼の奮闘により、我々の代は夏の大会で2勝をおさめ、4回戦まで進出しました。おそらく、ここ数十年で最高の戦績のはずですよ。
是非、野球部の後輩には一刻も早く我々の結果を超えてもらい、甲子園が現実的な目標となるような立場で、野球をやってほしいと思っています。
また、同期はマネージャーを含めて17名いるのですが、そのうち3名が弁護士になっています。司法試験の受験は何かと孤独感や不安感が募るものですが、同じ道を志している同級生の存在は心強く、また励みになりました。
WM;そうでしたか!
ボート部OBOG会も
野球部OB会も盛んに活動されていますよね。
佐々木さん;そうですね。野球部は、OBだけでなく現役生との試合もやったりしていますよ。
兵庫高校とOB定期戦もやりましたね。
WM;OB定期戦、ですか?!
佐々木さん;そうです、OB定期戦(笑)。
兵庫高校では、毎年同窓会の主催で「Homecoming Day」という卒業生向けのイベントをやっているのですが、昨年は、そのイベントの一環として、兵庫高校にお招き頂き、「野球部OB定期戦」という企画で、兵庫高校野球部のOBチームと試合をしました。「Homecoming Day」では講演やパネル展示などがあり、神戸高校の創立記念式典・文化祭に似ていますね。現役の應援團や放送委員会やブラバンも参加して、盛り上がりましたよ。
ちなみに、兵庫のOBには、80歳くらいの方で、投手として阪神タイガースに在籍していた方がいらっしゃるのですが、その方からヒットを打って、「元プロからヒットを打った!御年80やけどな。」というのが、私の鉄板ネタになっています。
この昨年の企画以外にも、毎年、必ず兵庫のOBとは試合と懇親会をしています。
また、今春には長田OB・兵庫OB・神戸OBの三つ巴交流戦も実現しました。
ちなみにこの帽子は、神戸高校野球部OB会の帽子です。
恩師からの言葉を胸に
WM;
奥見さんは高校時代のエピソードなどありますか。
奥見さん;
担任の先生から「分からないことを質問することは恥ずかしいことではなく、分かった振りをすることの方が問題である」といったことを言われ、感銘を受けました。流石にこの年になると勇気がいりますが、先生の言葉を思い出し実践しています。
また、37回生の同窓会の際、先生から「仮に自分に才能がなくても、才能がある人に対してエールを送れる人間になってほしい」といった話もありました。こちらも意識して実践するようにしています。
このホームページが同窓生の縁を紡ぐ場所になってほしいですね
WM;
最後になりましたが、このインタビューコーナーをご覧のすべての卒業生に、ひとことお願いします。
奥見さん;
現在、私も同窓会の理事として、同窓会を活性化させる方策を模索しているところです。同窓会ホームページのリニューアルもその一環です。取り上げてほしい記事や行事などどんなことでも構いませんので、同窓会まで御連絡いただきたいと思います。 一人でも多くの卒業生から、同窓会があって良かったと思ってもらえるように、私も出来る限りのことはしたいと思います。
佐々木さん;
私は、本当に高校が好きでした。
高校3年生の秋なのに、体育会のリレーや合唱コンクールのために居残って練習して、負けたら泣くみたいなみんなが大好きでしたし、今でも大好きです。
もし、そんな想いを共有して頂ける同窓生のみなさんと回生を超えてお会いできるなら、とても嬉しく思います。同窓会やこのHPが、同じ場所で学んだ者同士のご縁を紡ぐ場所になりますよう、微力ながら協力させて頂ければと考えております。
WM;
ありがとうございました!
今後のご活躍も卒業生一同応援しています。