兵庫県立神戸高等学校同窓会

インタビューのコーナー

みなさん、こんにちは!
大好評のインタビューコーナー第7回は、公認会計士・税理士・そして作家でもある山田真哉さん(47回生)です!
専門学校で勧められたのが「会計士講座」でした
同窓会広報担当者(以下「WM」);
お忙しいところインタビューをお引き受けくださり、本当にありがとうございます!!
「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」、私も読ませていただいたことがあります。
テレビにご出演されていらっしゃるのを拝見したこともありますよ!

山田さん;
ありがとうございます。
本を書いたり、テレビに出たりすることもありますが、本業は公認会計士で、いまは会計事務所の所長をしております。

会計士になったのは、大学を卒業して、最初に就職をした東進ハイスクールを退社した後です。
退職後、就職氷河期でもあったため何か手に職を付けようと専門学校に相談に行ったところ、窓口の人に勧められたのが「会計士講座」でした。
頑張れば数年で合格できるし、仕事もそれほど大変ではないという説明を受けたので受験をすることにしました。
仕事は非常に大変なので、その点は半ば騙されたのも同然です。
会計士の仕事内容がわかる本を書きたいと思っていました
WM;
山田さんはたくさん著書を出版されておられますが、最初に本を書こうと思われたきっかけはなんだったのでしょうか。

山田さん;
大学も文学部だったため、周りに会計士は一人もいませんでした。
会計士受験生時代は職業のイメージがわかないまま勉強をしていたので、「自分が合格したら、受験生のために会計士の仕事内容がわかるような本を書こう」とずっと思っていました。
それで、会計士試験に合格した翌年に会計士受験生向けの雑誌に小説『女子大生会計士の事件簿』の連載を始めました。

WM;
山田さんの著書はどれもとても分かりやすく面白いですね。
私のような数字に疎い人間でも、会計学がちょっとわかった気になってしまします。(笑)
まとめのページがあったり、具体的な例が挙げられていたりして、単なる数字や数式や表の羅列ではない、新感覚の本です。
会計士受験生向けの雑誌に連載するきっかけはどういったことだったのでしょうか。

山田さん;
若手会計士の団体で広報委員長になり、何か広報活動をしなければならなくなりました。
もっとも経費がかからない手段として、自分が小説を書くことにしたのです。

WM;
経費がかからない手段として始められた連載がそののち、作家デビューにつながったのですね。
今までのご自身の著書の中で、一番思い入れが深いものはどの本ですか。

山田さん;
『経営者・平清盛の失敗』(講談社)ですね。
平清盛は、一時的にも神戸に都を置いた神戸の大恩人ですから、書くことができてうれしかったです。
飯島愛さんの会計をお手伝いしたことが「芸能界専門」になるきっかけに
WM;
ところで山田さんは現在、一般財団法人芸能文化会計財団という財団の理事長をされていらっしゃいますね。

山田さん;
はい。業務内容は、エンターテインメント業界専門の会計面での支援です。
今は役者や作家といった個人の方約200名と、テレビ制作会社など約70社を顧客としています。
エンタメに特化しているのは、会計処理や税務も他の業界とは異なる点が多く、また、専門化したほうがノウハウは蓄積され、お客様へのサービス向上につながるからです。
最近は、会計業界も若手の人手不足が問題になっているのですが、エンタメについては興味を持つ若者も多いため、人材確保の面でも特化したことでとても助かっています。

WM;
具体的にはどのような人材を、どのように確保されているのでしょうか。

山田さん;
毎年1人のペースで人数を増やしているのですが、自社のホームページでの募集や人材紹介会社を使っています。
人材としては、一定の会計レベルも必要ですが、そもそも芸能界に興味があることも重視しています。

WM;
今までで一番印象に残っているのはどういうお仕事でしたか。

山田さん;
昔、飯島愛さんの会計を手伝ったお仕事ですね。
とても気配りをされる優しい方でした。でも会計はめちゃくちゃで、大変な目にも遭われていました。なんとか救ってあげたいと思い、お手伝いをしていたのですが、それが弊社が芸能界専門になるきっかけになりました。
育児休業宣言をし、妻の育児の手伝いをしていました
WM;
エンターテインメント業界専門!
たしかにほかの業界の会計実務とはまったく違うのだろうと予想できます。
ところで、そんな山田さんも、2010年に育児休業を宣言されたそうですね。

山田さん;
7年前に一人娘が生まれたのですが、育児ができる機会も人生にそれほどないだろうと思い、仕事を半分に減らす半休業状態にしました。宣言したほうが、周りも私に仕事を振りづらくなりますしね。
まあ、ちょうどその頃は忙しい仕事もなく、会計士として自由に時間を調整できる状態だったことも大きいです。
結果として2年間ぐらいは、けっこう育児を・・・と申しますか、家事を中心に妻の育児の手伝いをしていました。
妻の目から見ると、私の育児は丁寧ではないので、あまり任せてはもらえませんでしたけれども...。
子育てに対する夫婦での決め事が多かったので、当時はしんどかったです。
もちろん楽しいこともありましたが、ずっと神経をとがらせていないといけないため、子育ては大変だな、と本当に実感しました。

WM;
実際にご自身も積極的に育児に参加されたからこその感想ですね。(笑)
現在、オフの時間はどのように過ごされておられますか。

山田さん;
公園に行ったり、映画に行ったり、家でテレビを見たり、勉強をみたりと、毎回多種多様ですね。
高校時代は地味な神高生でしたね
WM;
イクメン公認会計士ですね!
山田さんはどのような高校生でしたか。

山田さん;
小学校のころから、「従兄弟の〇〇君は神戸高校に入って偉いねぇ」と、親から洗脳されていた気がします。金銭的な問題もあって、親は私に、とにかく私立より安い公立に行ってほしかったのだと思います。それで神戸高校を志望、入学しました。(笑)
高校時代は地味でしたね。部活も他の校舎から離れた科学館のさらに屋上にある、自然科学研究会地学班という秘密結社のような組織でしたし。
クラスでも、特定の男子としかしゃべっていなかったと思います。女子としゃべった記憶はほとんどありません。
同級生でも当時の僕のことを知っている人は、あまりいないんじゃないでしょうか(笑)

WM;
地学班ではどのような活動をされておられましたか。

山田さん;
中学校時代は吹奏楽部の活動をけっこう熱心にしていたので、高校ではもっとゆっくり、まったりとしたかったから地学班に入りました。男子しか部員がいなかった時代で、部室でマンガを読んだり、ゲームをしたり、みんなでボーリングに行ったりと、自由にできて楽しかったです。
地学班的な活動としては、年に1~2回、天体観測の合宿がありました。これも楽しかったですよ!
会計士はAI化が進んでもなくならない職業だと思っています
WM;
将来会計士になりたいと思っている後輩たちもいることと思います。
山田さんから、後輩たち含めこのHPをご覧のみなさまに、ひとこといただけますか。

山田さん;
今後はAI化によって会計士が不要になる、といった予測も出ているため、会計業界はいま若い人たちから不人気な業種となっています。
とはいえ、AIは、「結論は提示してくれるがプロセスは教えてくれない」という特徴があるのに対し、会計士に必要な能力は「プロセスを丁寧に説明して、結論に納得してもらう」というものです。
どちらかというと人間的なコミュニケーションが大事になってきます。AI化が進んでもなくならない職業だと思っていますので、安心してどんどん入ってきてください。

WM;
たしかに、AI化が進むと多くの職業がなくなるだろうと言われていますからね。
でも会計士はなくならない職業だと思う、とお聞きできて、少しホッとしました。(笑)
ありがとうございました!
今後の益々のご活躍をお祈りしています!
《山田真哉氏 プロフィール》

公認会計士・税理士。

1976年 神戸市灘区生まれ
1989年 上野中学校入学
1992年 神戸高校普通科入学
1995年 大阪大学文学部入学
1999年 株式会社ナガセ(東進ハイスクールの運営会社)入社、すぐに退社
2000年 会計士試験に合格 中央青山監査法人(現 PwCあらた有限責任監査法人)入所
2002年 『女子大生会計士の事件簿』出版
2004年 独立
2005年 『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』出版。7ヶ月でミリオンセラー達成
2007年 NHK総合「ビジネス新伝説 ルソンの壺」準レギュラー出演
2011年 一般財団法人芸能文化会計財団の理事長に就任
2015年 文化放送「浅野真澄×山田真哉の週刊マネーランド」開始
2017年 NHK朝の連続テレビ小説「ひよっこ」経済監修