近い将来大きな変化を遂げるかもしれない場所で仕事をしてみたかった
-同窓会広報担当者(以下「WM」) このたびはお忙しいところインタビューをお引き受けくださり、本当にありがとうございます!
今はルワンダにおられるとのことですが、簡単にお仕事の内容をお聞かせいただけますか。
ルワンダで、農業ビジネスに携わっています。
具体的にはマカダミアの生育栽培、及び収穫したマカダミアナッツの加工・販売を行っています。
-飯田さんは大学卒業後、三井物産株式会社に入社されたとお伺いしています。
入社が難しい人気の会社に入社された飯田さんが、その会社を辞めて、アフリカに渡ろうと思われた経緯に興味があります。(笑)
はい、京都大学を卒業後、三井物産に入社しました。
総合商社への就職を希望した理由は、大学卒業後は幅広く産業を見ながら商売を学びたいと考えたからです。
三井物産では、インドや中国・東南アジア向けに鉄鋼製品の輸出をしたり、
フランスで2年間語学研修と仏語圏アフリカにある金属資源の販売や投資機会の模索をしたり、
その他欧州向けに船舶の売買をしたりと、多岐に亘る仕事に関わることができました。
就職するまでは殆ど海外へ出た経験がなかった私ですが、社会人になってから様々な国を見る機会を頂き、
文化の異なる人々と仕事をすることの楽しさを知ることができました。
当時は特にインドや中国が急発展中で、その市場で仕事をすることは苦労も多い一方で刺激も多く、
その地を訪れる度に街の景色が変わっていくのが非常に新鮮なものでしたね。
次第にこの先10年20年のスパンでより大きな変化を遂げるかもしれない世界で、またより現場に近いところで、仕事をしてみたいとの思いが強くなり、
アフリカ大陸が自分の頭に浮かんできた頃に、丁度ご縁あってルワンダの農業に関わる機会を得て、心機一転新しい世界に飛び込もうと決断しました。
神戸高校時代に鍛えられたことが ルワンダでも活かされているのかもしれません(笑)
-商社マンだった飯田さんにとってはそうではなかったかもしれませんが、ルワンダというと、多くの日本人があまりなじみのない、しかも日本から遠く離れた国ですよね。
どのような生活を送られているのでしょうか。詳しく教えていただけますか。
ルワンダはアフリカの中でも発展目覚ましい国の一つで、街の中心部における道路網・電灯といったインフラ整備はかなり進んでいます。
インターネットも比較的幅広く普及されていますよ。
でも町の中心部を離れると、斜面の急な丘に土壁・トタン屋根の家が所狭しと連なります。
農村部にスーパーはもちろんなく、雑貨屋・金物屋・軽食屋等の小さな商店が立ち並び、
私の目にはまるで映画「ALWAYS三丁目の夕日」に出てくる街の様子に重なって映ります。
仕事場は中心部から少し離れているので、電気や水が滞ることは頻繁にあります。
地方の農園や農家を回るのもなかなか体力がいりますね。
-日本の会社の一員としてお仕事をされていた時とは、いろいろな環境が違っているわけですね。
そうですね。東京のオフィスでパソコンを相手に仕事をしていた時とは全く違う環境です。
でも、日々、大自然や現地の人びとと触れ合いながら全身を使って働くのもなかなか楽しいものですよ。
それに、生活はもとより、当然ながらビジネス慣習も大きく異なります。
日々の仕事には大なり小なりトラブルがつきものです。
特に約束事や時間への感覚は日本人とは大きく異なるので注意が必要です。
明日来るはずが3日後に現れたり、結局会えずじまいだったり。
翌日突然モノの値段が変わるなんてこともあるので、その場その場での対応が大事ですね。
自分が予想していなかった事が日常茶飯事的に起こるので、一日に5個やりたいことがあったとして、そのうち1つが前に進めば御の字くらいの毎日を過ごしています。
日本にいた時は、定められた期限の中でいかに効率的に物事を進めるかが大事だと思っていたところがあったのですが、
現地に入り込んで働く現在は、時間通りに事が進むことはなかなかありませんし、むしろ期限を定めず最後までできるかどうか、やりきったものが勝ちだくらいの気持ちで取りくんでいます。
神戸高校時代に心身を鍛えられたことが、今になって活かされているのかもしれません。(笑)
とはいえ、仕事を通じて地場の農家さんの収入増に寄与できたり、現地社員の雇用を創出できたり、輸出により国の外貨獲得に貢献できたりと、少しでもルワンダの発展に役に立てている面があるのかなと思うと、相応のやりがいを感じています。
神戸市とルワンダで経済連携が結ばれています
-大学は京都に行かれて、その後は東京を拠点に世界各国でのお仕事。今はルワンダ。
ご活躍の場所は広がっていますが、現在に至るまで、「神戸高校OB」でよかった!!と思われたことはありますか。
東京で商社で働いていた頃は、会社内やお付き合いをするお客様の中でも、
神戸高校の知名度は高く、また実際に諸先輩方がありとあらゆる分野で活躍されていることが多かったため、
なにかと人のネットワークが広がっていったり、可愛がって頂いたりすることがよくありました。
また、神戸一中からの流れもあり、兵庫高校(二中)や長田高校(三中)と並んで神戸を代表する名門公立高校出身として、
東京でも胸を張って過ごしていましたよ。(笑)
偶然にも現在住んでいるルワンダ国と神戸市の間に交流があることはご存知ですか。
ICT分野はじめとする経済連携が結ばれているのです。
神戸市からルワンダへ出張でお越しになられる方も多くいらして、
ルワンダでお会いさせて頂く機会もあり、何かとご縁を感じています。
夜の校舎屋上でこっそり花火を打ち上げたら...
-さきほど「神戸高校時代に心身を鍛えられた」と仰っておられましたのが(笑)、
飯田さんはどのような神高生活を過ごされていたのでしょうか。
私は東灘区にある住吉中学校に通っていたので、ごく自然な流れで当時の第一学区内の公立高校を志望しました。
小学校・中学校と野球をしていましたので、神戸高校が一中時代に甲子園出場したことがあるのは魅力の一つでもありましたね。
入学後は野球部に所属しました。
今振り返ると、部活動が中心の高校時代だったかな。
朝練をして2限目の後に早メシ。昼休みにグランド整備をして、放課後から夜まで練習...の日々でした。
3年生の夏頃になるとなにやら受験ムードが漂ってくるのですが、少しでも長く野球がしたいと思っていたのを覚えています。
甲子園には惜しくも届きませんでしたが(一回戦は突破!)、仲間と過ごした濃厚な時間と唯一の勝利の味は今でも大切な思い出です。
部活動以外の学校での日常生活は、”自称”明朗活発な性格も相まって、先生方に時折ご指導頂いたことも覚えていますね。
朝に地獄坂を懸命に駆け上がるも遅刻ギリギリなので、通常使用が禁止されている正面玄関を突破しようとしたら見事に先生に見つかり頭をゴチン。
部活動が終わった夜に校舎の屋上でこっそり花火を打ち上げたら、夜間学校の先生に見つかり見事に御用。
翌日担任の先生でもあった体育の授業はまるまる正座。。。(笑)
受験前に無精ヒゲを伸ばしていたら、当時の古文の先生に「大学に受かりたかったヒゲを剃れ」と迫られ、
素直にツルツルに剃ったことも覚えています。
今でも同窓メンバーと会えば大声で笑いながら楽しい思い出話に浸ることができますね。
今でも野球部のメンバーとの交流は続いています
高校時代 野球部(最前列左から2番目)
-部活動の時の仲間とは、現在も交流は続いていますか。
東京で働いていた頃は在東京の同期と1-2ヶ月に一度くらい集まっていましたし、
海外にいてもSNSベースでは繋がっていて距離をそれほど感じませんね。
また、年末年始に帰省したメンバーで地元の居酒屋に集合するのは今でも毎年の恒例行事となっています。
他には野球部若手OB間でLINE Groupも作ってもらっていて、今年の兵庫高校との定期戦動画をルワンダで見たりもしましたよ。
昨年度はお世話になった先生方もお招きした53回生の同窓会が神戸高校で開催されました。
私は参加できずでしたが、Skypeで会場の様子をみることもでき、何とも懐かしく嬉しい気持ちになりました。
神戸高校OBOGの各界でのご活躍は、私にとっても大変刺激的です
-最後になりましたが、このHPは多くの卒業生だけでなく、在校生や、今後神戸高校を志望するかもしれない中学生もご覧くださっています。
みなさんにひとこと、いただけますか。
現在は高校生や大学生で海外留学やインターンをする人が増えてきているように聞きますが、
私も若い人にはどんどん外の世界を見て異文化に触れてもらいたいと思います。
その中で「日本人らしさや自分らしさとは何か」ということに向き合うことができたり、
今までになかった角度からやりたいことに出会えたりするかもしれません。
神戸高校での3年間はあっという間でしたが、当時知らず知らずに染み付いた質実剛健・自重自治の精神が、
異国の地で自分のアイデンティティの一部として活かされているような気もします。
特別なスキルや学力というよりは、もっともっと根本として大切なものを神戸高校で学ぶことができたのかもしれません。
大学受験やゆくゆくの就職といった近い将来のことだけではなく、長い目で見て自分の為になる環境がそこにはあると思い、
在校生には楽しい高校生活を過ごして頂きたいです。
また神戸高校OBの方々のご活躍をさまざまなところで見聞きすることがありますが、私にとっても大変刺激的で、
神戸から遠く離れたルワンダの地でさらに頑張ろうと意欲を駆り立てられています。
こちらこそどうぞ宜しくお願い致します。
-ありがとうございました!今後のご活躍も同窓生一同応援しています!