―帰神されて家業を継ぐにあたり、最初に着手されたこと、取り組まれたことを教えていただけますか。発信力の強化ですね。
もちろん、たくさんの顧客の皆さまに支えられて、今までも会社としてはきちんと回ってきました。
けれどもこのままではいけない、もっと多くの方に永田良介商店の家具を知って、使っていただきたいと思いました。
東京の某有名百貨店で催事をするにしても、手を変え、品を変え、見せ方を変え、いろいろ試行錯誤してみたとて、
まぁ、なかなか売れない。
情報の発信という点を強化しなくては、限界があるなと考えました。
まずはカタログ類を刷新したり、ホームページを変えてみたりといったことから着手しました。
家具のカタログを変えるというのが一番大変だったかもしれません。
カタログ用の家具写真を撮るときは、ちゃんとインテリアができあがっているところに家具を持って行って、家具をしつらえて、セッティングして、やっと1枚の写真が撮れるので、今のスチールのストックを撮り貯めるのに、2年くらいかかりました。
その後ようやく、店舗のリニューアルやスリッパの販売にも着手できてきました。
ー昨年開始されたという、世界のハイブランドファブリックを用いた「世界に1足だけのスリッパ」のことですね!
先ほど店舗1階で実物を拝見しました。昨年開始した「
R.Nagata Slippers ー 世界に1足だけのスリッパ」は、国産牛革を使用したスリッパです。ただ優雅なだけでなく、日本人の足型を考えた上で、一足一足丁寧に作られているので、履き心地も抜群です。
おかげさまで初回生産の60足は、開始1か月で完売する好発進となりました。
オンラインショップも開始しました。
今はスリッパとアンティーク小物のみご購入いただけるサイトですが、少しリニューアルして、5月頃から家具もオンラインでオーダーいただけるようになる予定です。
弊社はオーダーメイドの家具販売店ですから、オンラインでシュミレーションしてからご注文いただけるシステムにしています。
ー御社のホームページも拝見しました。神戸一中をはじめとして、天皇の御行幸先に納品されてきた歴史もあるとか。
そのような重厚な伝統を継承しながらも、新しいことにもどんどん取り組んでいらっしゃるのですね。そうですね。「変わる」ことを恐れていたら何もできないと思います。
先代に対してプレッシャーを感じることはありません。のびのびとやらせていただいています。
いろいろ取り組んできた過程において、私が大切にしてきたことは、なによりも「人の出会い」や「つながり」です。
たとえばスリッパについていうならば、家具屋である弊社ではスリッパは作れないですから、
私どもが考えているスリッパを作ってくださる方と繋がることができて初めて、
「世界に一足しかないスリッパ」の構想が実現しました。
百貨店での催事にしても、百貨店を突然訪ねて「催事をさせてください」と言ったところで、大した場所は貸してくれません。ですから、まずは先方との関係をしっかり築くことを最優先に動いてきました。
-社会に出られてから、「神戸高校OBで良かった」と思われることはありますか。 ビジネス・プライベート問わず、どんな場所に出て行っても、神戸高校を卒業しましたと言って馬鹿にされることはないですから、そういう点で「神戸高校に行っていてよかった」と思うことはあります。
神戸高校卒業生のネットワークにいろいろと助けられているなと感じることもたくさんありますよ。